2008年09月20日
 
 
まことしやかに伝わる都市伝説。 
その中のひとつに、『桜の樹の下には死体が埋まっている』という噂があります。 
この噂は何度か耳にしましたが、一体誰が最初に言い始めたのでしょうか?
  
坂口安吾作のかの有名な小説『桜の森の満開の下』だと以前は思い込んでいたのですが、 
実際には『桜の森の満開の下』にはそのような描写は無いようです。
  
最も有力なのは、1928年に発表された、梶井基次郎作『櫻の樹の下には』が由来、という説のようです。 
『櫻の樹の下には』の内容は、 
桜があんなにも美しいのは、桜の樹の下に屍体が埋まっているからだ…という主人公の独白から始まります。
  
あまり複雑なストーリーがあるわけではないので、どちらかと言うと小説より詩に近い雰囲気もあります。 
桜の持つ神秘的な美しさの描写と共に腐乱屍体の醜い描写が同居していて、ある種の狂気をも感じさせる作品です。 
このミステリアスな雰囲気が『桜の木の下には死体が埋まっている』という都市伝説を生み出したのかもしれません。 
 
 
『死と乙女』など、神聖なものと死を重ね合わせるのは
哲学や芸術の分野ではしばしば散見されるようですね。 
 
 
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