『攻撃交換実験』と『投影(投射)』の心理


2009年04月17日

こちらはアイヒマン実験ほど有名ではないですが、同様に興味深い心理実験です。

被験者を二人に分け、片方がゲームに負けると相手に電気ショックを与えます。
実験の結果、電気ショックを与えられても、相手が故意でないと分かるとやり返しません。
しかし相手が故意に行った、明らかに悪意による電気ショックだと感じると、それが小さなものでも怒り、報復を加えたといいます。

つまり相手に『悪意』を感じると、人は攻撃的になるのです。
たとえその悪意が事実でなかったとしても。



世の中には、人の言動に悪意を見出しやすい人もいます。そういった性格を『パラノイド性格』といいます。
日本人は特に曖昧な態度や言葉を濁す事が多いですから、パラノイド性格の人にとっては危険な国であると言えましょう。


自分の中の悪意を、相手の中にあるものだと認識する場合があります。
例えば自分が人をすぐ欺く性格だったとして、人に対して「あいつは嘘吐きだから、信用できない。きっと自分を騙そうとしている」と感じるなど。
自分の中の心の一部が相手にあるものだと思い込む事を、『投影』または『投射』といいます。
人を評価しているつもりが、知らず知らずのうちに自分の心の中を吐露する結果になる場合もあります。

こういった認識のバイアス(偏り)が発展すると『妄想』の域にまで達する事があります。
『妄想』とは、客観的に見て非合理な事を真実だと思い込む事です。
思い込むまでには至らない、「〜としか思えないが、根拠が薄いし違うかもしれない…」くらいだとそれは妄想とは言わず『念慮』と言います。



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